医療機器業界の転職ノウハウ

3 面接では何が聞かれますか?  経験・知識・即戦力

3-1 即戦力とは何か?

医療機器の経験者に対する面接はどのように進むか、どのように対応すべきかを考えました。HPのなかでは面接対策を参照してください。面接考課の秘密(インタビューチェックシート)はメディカルキャリアオリジナル、経験技能の評価だけでない考課方式を解明しています。

医療機器企業での中途経験者の面接では:

1 即戦力としての仕事遂行が可能か(経験とスキル部分)
2 組織親和性はあるか(コミュニケーション力と適応力)

の2点につき評価・吟味・考課判断されます。当然身だしなみ・言葉遣い・質問対応の明快さなど社会人の基礎として必要な資質も吟味されます。この部分は社会人経験している皆様には当然備わっていると判断しているので、説明しません。

即戦力とは?

多くの企業の募集要項では、中途採用人材を20歳代の若手、32・3歳の中堅、30歳後半のスーパーバイザー(マネージャー候補)クラスと分けています。会社の組織が経験豊かな(=年齢もそれなりの)管理職と、その指揮下の中堅・若手というピラミッド組織になっている。中途採用者もこの組織のなかで働くので、組織構成からはみ出さない方、具体的には年齢と経験のバランスがとれている方が好ましい。

即戦力とはこのバランスのなかでの力量と見てよい。20才代の若手の方には「業界経験3-5年、製品知識を持ち、営業拡販プロセスを実戦している、自身で2-3の開拓実績もある」。年齢・経験のバランス、ここがピンポイントになる傾向にあります。面接で確認されるのはそのピンポイントの部分、気が抜けない理由はここにあります。

組織の中では個人の機能がそれなりに決まっていて、それが組織の安定性を保証しています。たとえば組織長がいて、補佐するベテラン、実際の手足になって動き回る中堅、その下に若手など、以上は例としてですが。
年齢と役職が比例するのが日本型の組織ピラミッドです。これは外資系でも、似通っています。

さらに、医療機器業界に限らず中途採用は補充採用と増員採用となります。補充採用とは1の空席に対して1の募集。ある組織の職務が空席の場合その空席に適性ある方を探します。ベテランが各病院を新規に開拓して、その製品の使用が決まっている、ベテランは引き続いて新規に開拓するので、若手に既存顧客の相手をしてもらいたい、満足度を上げる仕事が中心。こうい う案件にはベテランを追加するのではなく足腰の軽い若手が希望される。理由は企業は5-10年後を見ての採用を優先するから。25,6歳の方が応募すれば 年齢ゾーンとしては適性がかなう。先輩が35歳とすれば(こうしたケースが多い)年齢と上下関係の軋轢は出ない。そこで面接に入る。

この場合に面接ではその空席にあてはまる即戦力が吟味されます。

企業側がその募集を固めているところに、たとえば38歳、知識も業界経験の抜群の方が応募したら?希望する即戦力ではありませんね。その部門のマネージャーと近い(あるいは上)となるかもしれない。これは組織の健全維持にそぐわず、見送りになることは予想されます。

この転職HPでは医療機器「必勝の転職サポート」を標榜しています。転職希望者に作戦の進め方から提出書類のまとめ方、面接の臨み方など全体プロセスを包括的にサポートするのですが、今年に入ってすでに多数の成功が発生しています。やはりピンポイントの募集要件にピンポイ ントの候補者を紹介するーこれが成功の秘訣です。

成功(昨年の例):

山田さん(仮名)29歳医療機器の営業希望、医療業界での経験はありません。化学薬品・試薬の営業を6年の経験。メディカ ルキャリア相談以前にある紹介会社経由で医療関係3社に応募、面接でつまづいたーとの事。面談して「医療機器大手の拠点での営業職に適性がある」と見まし た。山田さんのこれまでの営業では製品の紹介と開拓に積極性があり、成果も上げています。しかし経歴書にその記載がない、となると面接で山田さんの得意な 「対人折衝+製品紹介」に入るきっかけがない、これでは面接不利になる。

この点を指摘し、職務経歴書の全面書き換えをサポートしました。狙いとしてはその大手企業の営業拠点(首都圏)で、所長さんに報告し、所長さんの補佐しながら、慣れてくれば自身でも開拓するーというポジション。その任務に応えられるーというまとめ方をして提出。
このところは肝心なので詳細にはいります。
アドバイスしたのは、職務経歴書にそうした部分が欠如していたこと。そこで新規開拓の経験を書き入れれば、自然と即戦力のPRになり、かつ注目が集まります:

1 全社挙げての拡販プロジェクト
2 地域に応じた(=特に有力な1社3事業所がありそこに重点)に対応した作戦
3 期間中社内5指に入る成績

を書き込んでもらいました。読みかえすと、即戦力に必要な「仕事の基本」をすでに体得している、「拡販に必要な製品知識と戦略の立て方」を持っているーという印象が出てきました。この出来栄えには本人も満足、自信が出ました。
面接ではその拡販の時の行動について、細かいかつ深い質問があった。面接前にその時の状況を思い起こしていたので、これも上手く返答できた。全体の印象で「安定感」「実績・信頼感」をアピールできたようです。

3-2 面接では何が聞かれますか? 組織親和性 ファジーの究明

組織親和性・面接での最大ポイント 

書類(履歴書・職務経歴書など)を苦心して作成し、求人企業に応募する。適性があると判断されれば、面接に入ります。難しいのはこの先です。面接を突破するーこ の為の秘訣を考えているのですが、なかなか分かりません。候補者の経歴を拝見して、この方には難関だな・難しいだろうなーとの先入観があっても無事合格も あるし、この方は絶対OKと信じてもNGをもらったりと経験してきました。面接を難しいとする理由が、結果のファジーさ(ふらふらしている)ことにあるよ うです。

まずは面接のファジーさについて考えよう:

書類を提出するまでに書類の整備には時間をかけるので、候補者の経験と応募要件との間の「適性」が理解できます。要件ひとつづつ当てはめれ ば、100%適正が合致するのか50%か?など見えてきます。書類から面接に進む過程は、企業の人事担当者様、現場部門長様など合議のうえですが、ある程度は予測がつくものです。100%適性が合えば当然面接に。50%しか適性が合わない場合には、要件のうち最も重要な項目を、その次の項目と順に追って、 適性率を判断すれば見当がつきます。書類考査ではファジーさはありません。書面で書かれていることを企業担当者様はしっかりと読み込んで、次のステップを どのように進めるかを検討します。

さて面接に入って、資格・要件などの適性率が高く、人物も問題ないーまずは合格と思っても、見送りないしNGがでることは往々にしてあります。この反対で 書類での適正率は高くなかった、しかし面接突破してしまう、これも多くあります。面接は難しいーの理由がここの「予測ができない」にあるためです。しか し、こちらも医療機器の専門コンサルタント、一歩下がって面接を分析する、面接の過程で企業側が候補者のなにを解明しようとしているのかーこれが分かれば面接プロセスの解明に近ず くはず。

こんな時に懇意にしていただいているある人事部長さんの言葉

「面接ではその人物を考査・吟味するのだが、その方が会社に入って、実組織にの中で仕事をすることを想定する。その組織に溶け込めるか、上長・同僚とうまく話ができるかーといったことを」みます。

なるほど個人を見るのではなく、その会社のその組織のなかでの候補者を想定しているのだ。

中途採用では1の空席に1人の補充。補充先は具体的に部・課・係まで指定されている。その空席の職務に必要な仕事経験・基礎能力は当然のことながら、その 係・課内、ひいては部・企業のなかで浮き上がらず、組織に溶け込んで仕事ができる人材を探しています。採用する企業側は新人が入ることで組織を強化するこ とを第一にするので、仕事能力は当然のこと、組織の活性化につながる性格・行動パターンがあるかどうかを判断します。組織に反映させてその人物を見るとい うのはこのことです。

面接では職務経歴書には書かれていない、前職での行動パターン、たとえば仕事の進め方、上長への報告・判断の仰ぎ方、リスク時点の回避行動などを聞き取り、企業・職場環境との親和性を判断します。

たとえばこんなケースも:
前企業は完全SOHO、報告は週1回に全体会議のとき、売上インセンティブがある。希望する企業はチームワーク重視、個人成績よりもチーム成績、ひいては 企業の全体売り上げを重視する。候補者は面接に入ったものの、企業側から「あまりにも仕事の進め方が違うので、見送ります」という返事でした。候補者本人 の経験・能力は差し置いて、前職企業との評価の制度が違いすぎるのが理由でした。

こうした状況は転職活動でよくあるケースです。先方に不安を抱かせない印象を醸し出すのが対抗する作戦です。私は2つのポイントをアドバイスします。
それは;

1 コミュニケーション力
2 リーダーシップ

に集約されます。

会社組織で働くのがサラリーマン。組織を健全に維持し発展させて行くなかで、自身の目標も会社の予算も達成できる。社外(顧客)とのコミュニケーションのみならず、社内での連絡・報告・規律重視は最重要です。こうした能力に欠けると、たとえ仕事ぶりがよくても孤立し、頭打ちになりひいてはお客さんからも疎 んじられるーと会社側は判断します。そうした判断の持ち込まないための作戦、コミュニケーション力は面接での第一の課題です。

リーダーシップも仕事遂行の上で欠かせません。技術開発が尖鋭化している医療機器の業界、製品力とブランドの競合が日常の活動の中で起きています。営業員 (ほかの職種も同様)自身が判断し行動するという素早さががないと、打ち勝てません。この2つの、ときには相反する性格を丸く収めて持っている方が面接に 強い。そのような印象を面接者に印象付けることで面接無事通過になります。

親和性の適性検査(メディカルキャリアのオリジナル)です
面接考課の秘密(インタビューチェックシート

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