医療機器業界の転職ノウハウ

4.職種別転職作戦2 ケース紹介

事例1:診療放射線技師27歳男性

首都圏の民間医療機関に勤務。画像診断装置メーカーを希望。
転職決定にいたるまでの背景を面談でお伺いしました。

「勤務している病院はその地区で中心的役割で、大型装置の導入、救急の受け入れ、循環器などの専門手術も設備しています。また近在の開業医様にも医療情報の交流を進めるなど開かれた経営です」

「2年前に最新のCT装置を入れました。装置(マルチスライス)です、ドクターと共同して、肝臓、心臓、肺野などに新たな検査手順を作成しました。さらに、その検査内容と画像を近在の開業医様にプレゼンして、該当する患者を紹介してくださいーと開拓しました」

「最新の装置を使って商品(=最新CTでの検査サービス)の開発と営業をしました。病院勤務よりも営業的に外で仕事するのが性格にあっている」

メディカルキャリアのサポート内容:

1 職務経歴書の整備

面談の時に持参していただいた初稿では時系列での仕事内容が書かれていた。仕事の羅列のみではインパクトがないので、聞き取った「マルチスライスCTの導 入と検査プロトコルのカスタマイズ」「CT装置の説明会を=顧客への製品の説明と拡販のつもりで」加筆するようにアドバイス。

訂正した第2稿では上記2点が加筆され、メリハリがでた。

相談の結果画像診断機器メーカーの営業技術職に応募。

2 面接対策

履歴書・職務経歴書の読み返し、重点内容の確認、この部分が面接でのハイライトになりそうなので、自身のやってきたことをしっかりと思い起こしてもらった。

そのほか、退職理由が弱いので必ず質問になるとアドバイス。このところは念入りに、たとえば「病院勤務がいやになったか」「上司・技師長さんと人間関係はうまくいっているか」という質問が入る可能性が高い、答えを用意しておくほうが良いーなど。

1次面接の進行はほぼ予想通り。質問内容は重点とした項目になった。ほかに2点予測できない質問があった。一次でほぼ内定。2次も無事進んで、採用に。

事例2:臨床検査技師26歳

首都圏中核都市のクリニック勤務のY子さん。資格取得が22歳なので4年+のクリニック経験。検査装置各種をローテーションで取り扱うがY子さんが特に関 心を持つのがエコー(超音波診断装置)。理由としてほかの検査と異なり「術者の腕によって結果(画像)の臨床価値が変わる」すなわち腕の見せ所。ドクター から疑わしき病名と部位を聞き検査に入るのですが、ドクターが納得できるような質に上げるまで苦労」

その具体的な苦労とは

「肝臓を検査してくださいとの指示、エコー検査は問診・触診のあと。疑わしき病名も部位もまだ見えない。プローブをあててスキャンするのだが、ここはという部位には特に丁寧に。その見極めと時間の加減が短時間に価値ある検査」につながるとの話を聞かせてもらいました。

「今では必ず画像にインプレションを入れています」

=インプレションとは検査の結果(ポラロイドなど)に添付するメモ。読影するドクターに役立つのだが、うっかりはできない。部位、撮影方向、所見につながる影の位置などを書き込む。所見に結びつき、そのあとの検査・治療を決めるのに重要なアドバイスです。

26歳、経験4年にしての成果すばらしいですね。

メディカルキャリアのサポート内容:

1 職務経歴書など。面談で聞き取った経歴そのものを書き入れるようアドバイス。インプレションでは、珍しい症例を見つけた経験があればと注文しました。

また転職希望の理由は

「この前A社がデモに来て新製品に強烈な印象を持った。私だったらどのように使うーということを考えてばかり、メーカーでのアプリケーションを目指します」

27歳ならではの素直な理由、これもそのまま履歴書に書いていただきました。

アプリケーションスペシャリストとして大手のB社に応募。面接に入り
「面接ではクリニックでの仕事内容を話しました。答えにくい質問としては大学時代のサークル活動を聞かれました。唐突だったので」(第二新卒に多い質問、意外でした)

事例3:診療放射線技師27歳男性

静岡の中規模病院に勤務。呼吸器の専門家になりたいという理由で転職希望のS男さん。

臨床工学技士(ME)は医用機器のメンテナンス、運用を一手に引き受けています。透析装置から、オペ室、CCU・ ICU,呼吸器・麻酔機などを一手に引き受け、何でもこなす能力が病院勤務で求められています。一方特定の装置に専門特化したいという希望を持つかたも多く います。呼吸器は工学技士さんの得意分野の一つ、S男さんも知識には自信がありますが、仕事の大半は透析、これが不満。

面談できました

「昔から機械をいじるのが好きで専門学校に入学、病院勤務になって各種機戒の性能維持を中心に管理していました。7年目に なります。今の環境は機械をメンテするというより患者さんとの対応が多い。メーカーに入って最新装置のメンテナンスを中心の仕事に戻りたいと転職を希望」

メディカルキャリアのサポート内容:

全体的アドバイス

ー転職の理由が後ろ向きと解釈されるおそれ
ーメーカーに就業しても「カスタマー」とのコミュニケーションは必ずある。ただ装置を修理するだけがサービスの仕事ではない

病院を退職したい理由を

「ここ数年の装置の進歩は著しい、使用する病院・工学士側としては維持と消耗品の交換が主体、故障してもブラックボックス化してる内部に手を出せない。私としてはより高度な知識と技術で装置のメンテをする仕事に転職したい」

また、
「メーカーの仕事でも顧客(病院・スタッフ)との交渉があるのは理解、幸い今は患者さん対応が大きなウエートを占めているので顧客対応のセンスはあります」

1 書類のチェック
上記の修正点にあわせて書き換え(特に履歴書の転職理由)

2 面接対策では
ー病院での仕事環境、上司との関係などに質問が入ることを想定、回答を用意してもらった。
ー今の勤務(特に患者対応が中心の点)に不満があるのですか?という質問が想定できます、答えは?これは「不満はありません、病院スタッフとして当然の仕事」と割り切りが必要です。

など具体的な対策 (面接直前リハーサル) で予行。

医用電子機器の大手企業に決定、現在はカスタマーサービス職(コールセンターでクライアントからのヘルプコールに対応)。

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